誰でも簡単に出来る
深呼吸ダイエットたった2つの超簡単秘訣
エピソードV 9割の人が熱くなる!
■ 「○○」を見落としたら、健康増進できない。
■ 新幹線と自転車以上の差
■ 9割の人が熱くなる!
■ 正しい呼吸法ひとつですべての内臓がよくなる
■ 「体力」、「免疫力」と「ストレス」の共通点
■ 「○○」がなければ、糖尿病は解消されない
■ アホとボケの共通点
■ 免疫の主役がばい菌の伝道師に化ける
■ 長息で長生
■ まとめ
■ 「○○」を見落としたら、健康増進できない。
日本において、国レベルの健康増進の柱となる二つの原則が食生活と運動です。
しかし、実際の内容を見ると、食生活の面ではしっかりと(バランスよく)食べる生活を、運動の面では既存の考え方を踏襲するいわゆる運動の持続的・習慣的な実施が推奨されています。
この原則そのものは間違いではありません。
ところが、国を挙げてのこうした取り組みがもたらしたのは、不健康な国民を増やしたという、謳い文句とは正反対の結果でした。
これには、生活習慣に関するこれまでの考え方に大きな見落としがあったからではないかと考えられます。
もっと厳密に見ていきましょう。
平成15年から施行された健康増進法には「健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、・・・」とありますが、ここでいう生活習慣は「食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持」と明記されています。しかしこれらのうちには、生命活動を維持するのに必要不可欠なもっとも大事な生活習慣についてはまったく触れられていません。
それは「呼吸」のことです。
運動や食事などの生活習慣が健康維持に大切だと思って、人々が一般的に行っているのは、意識的に運動すること、食事に気をつけること、サプリメントを摂ること、などです。(こうした考え方を植えつけるのに国が果たした役割も大きいと言えます。)
食事と運動は確かに重要ですが、その重要性はどれほどのものかについて考えてみましょう。
2、3日食事をしなかったら、人の健康はどれほど損なわれるでしょうか?
2、3ヶ月運動をやめたら、人の健康はどれほど悪くなるでしょうか?
食事は大切です。しかし1日食事をしなかったからといって健康を損ねるような人はまずいないでしょう。反対に、この日本においては、2、3日の断食で体調がよくなる人の方がむしろ多いです。運動ももちろん大切ですが、2、3ヶ月運動をやめたからといって健康を損ねるような人はほとんどいないはずです。
一方、呼吸はどうでしょうか。
5分間呼吸をやめてみましょう。(危険なので、試されることのないようにお願いします。)おそらく、99.99%の人は5分以上呼吸を止めることができないはずです。たとえ出来たとしても、特殊な身体能力を持つ人を除けば、そのほとんどは死んでしまうでしょう。
ほんの数分間でも呼吸を止めればほとんどの人は死に至ります。このことが端的に示しているように、呼吸は一瞬たりとも抜くことができないほど大切なものです。
しかしながら、生命維持にとって最も基本的なことに関して、人々は、その大切さを忘れて生きています。一つ一つの呼吸を大切にすること、意識して呼吸をよくすること、すなわち、呼吸の大切さを見直すこと、これが健康にとって占めるべき位置は、限りなく大きいです。
にもかかわらず、このことは国の健康増進法や「健康日本21」ではまったく触れられていません。呼吸に触れない理由は色々考えられますが、運動や食事とは異なって産業化しにくく、内需拡大という経済的な課題への貢献が見込めないからという理由があるかもしれません。(これは、単なる筆者の憶測に過ぎないでしょうか。これを厳密に証明することが困難なだけです。)
■ 幹線と自転車以上の差
生命維持にもっとも大切な生活習慣である「呼吸」を蔑ろにして健康管理を論じ、健康増進計画を推進したあげく、「健康日本21」運動は、その中間評価において、散々たる結果を突きつけられました。
生活習慣病の予防改善はおろか、逆に、メタボリックシンドロームが流行語大賞になるほどまでに新しい社会ブームを巻き起こすという皮肉な結果を招きました。
前章で、運動を「自転車」にたとえました。
そのことについて、首を傾げる人がおそらくいると思います。しかし、先ほどにも登場していただいた、運動ではなかなかやせなかった例の、AさんとBさんが、運動をやめて呼吸を取り入れた健康法を実践してから、
Aさん、3ヶ月で9.8kg減量、
Bさん、1ヶ月で6.8kg減量
の減量成果を上げることができました。
Aさんの場合は、4ヶ月間ウォーキングに励んだけれども、減量はわずか300gにとどまり、さらには膝を痛めるといううれしくないオマケまでついてしまいました。ところが、根本的な方向転換に踏み切り、寝転がって実施する呼吸法を中心とした生活習慣の見直しによって、わずか3ヶ月で9.8kgの減量に成功したのです。
Bさんの場合は、週3回のスポーツジム通いを2年半も続けたにもかかわらず、減量成果が出ませんでした。ところが、食べ過ぎの生活(食べ過ぎたつもりでなくても食べ過ぎてしまう現代の食生活)を再認識し、Aさん同様に横になって行う呼吸法を実施することによって、わずか1ヶ月で6.8kgの減量成果を出したのです。
AさんとBさんのこうした実体験が教えてくれるのは、ダイエットという目的地に到達するための最速の乗り物は何か、ということです。
呼吸法を取り入れた生活習慣の見直しが「新幹線」なら、運動は「自転車」にたとえられるでしょう。ひょっとしたら、遥かにそれ以上の差があるかもしれません。
(AさんとBさんが取り組んだ呼吸法の具体的なやり方については、こちらをご覧ください。 )
これが結果論だけではないということは、すでに若干理論めいた形で示したとおりです。
肥満や内臓脂肪の改善策として、運動は、効果の面でも効率の面でも優等生ではありません。このことの科学的な根拠を示したわけです。
もう一度整理しておきますと、メタボリックシンドロームや生活習慣病を改善させるための食生活と運動というのは、それ以前に、十分な酸素供給が大前提であり、酸素がなければその効果が期待できません。運動も然り、食事も然りです。
食事で栄養素を摂り、それらは呼吸で得た酸素を使って分解され、エネルギーに変えられます。食事はもちろん大切ですが、「酸素」が十分でなければ、栄養素をエネルギーに変えることができず、基礎代謝の向上は期待できないのです。
■ 9割の人が熱くなる!
ここで、呼吸によって人の体がどれほど変わるかを実感していただくため、簡単な呼吸体験をしてみよう。
1.まず、仰向けになってください。
周りの環境の制約で仰向けになれない場合、椅子の背もたれになるべく斜めにもたれかかり、 リラックスした状態で座ってください。
そして、ベルトやネクタイをしたまま行う場合は、必ずゆるめておいてください。仰向けになれる場合には、枕は使いません。必要に応じて、柔らかいタオルなどを頭の下に敷いてください。
2.両手の親指と親指、人差し指と人差し指を合わせて三角形を作ります。
合わせた親指を、おへその上にそっと載せましょう。
両手は、力を抜いて、親指と人差し指の形が誘導するまま、自然に下腹部にあてがいましょう。
ひじを床につけ、手首の力を抜いてリラックスしてください。ここまでできたら、両手の指同士を離しても構いません。目を閉じて、両手の下、お腹の所に意識を集中します。
これが基本姿勢です。
このまま、ここで紹介する腹式呼吸を10回連続して行ってみてください。なお、呼吸による体への影響を正しく実感することが目的なので、自己流を避けて、必ず今説明した、またこれから説明する要領を守ってやってみることが重要です。
目を閉じて、基本姿勢をとります。
以下の4つのことに気をつけてください。
1.鼻から吸って鼻から吐きます。
舌先は下の歯茎の裏に軽くつけ、上あごに付かないようにします。
2.均等なリズムでできるだけゆっくり行います。
6秒以上かけて息を吸い、6秒以上かけて息を吐き出します。
3.お腹を意識しながら8割まで膨らませます。
胸が動かないように注意してください。
若干の余裕を残してお腹を膨らませる程度が8割のイメージです。
4.息を吸いながら、お腹をゆっくり8割まで膨らませます。
このとき、意識を両手の下のお腹に集中してください。
息を吐きながら、お腹が自然に凹むとき、意識を舌の表面に集中します。
注意:
- 吸って吐くまでの一呼吸は最低12秒です。したがって、10回終わった時点で2分未満になってしまう場合は、呼吸の長さが足りないということを意味します。もっとゆっくりした速度で再度行ってみてください。
- 12秒はあくまでも最低限の目安なので、息苦しくない
範囲でなるべく長く吸って吐くようにしましょう。
- 呼吸のリズムが正しければ、長く呼吸しても息苦しく感じないはずです。したがって、一呼吸12秒が苦しく感じる人は、このリズムを見直してみてください。
では、実際に連続10回をやってみましょう。
吸って〜 吐いて〜
吸って〜 吐いて〜
・・・・・ はい、いかがだったでしょうか。
この呼吸の要領を守って実施できたら、少なくとも九割以上の人は、三つの体の変化を実感することができるはずです。
- 口の中がだんだん唾液で充満し、潤いを感じる。
- お腹周りや手の周りが暖かく感じる。
- リラックスを感じる。
この三つの体感は、身体にとって重要なシグナルです。
唾液は内分泌システムのホルモンの一種で、その99%以上は水です。唾液の分泌は二つの証であると言えます。それは体内水分の循環とホルモンの活性化です。この二つを総じて体液循環といいます。
体がぽかぽかになるのは、熱エネルギーが作られたからです。
リラックスを感じるのは、副交感神経が優位に働くようになったからです。
9割以上の人が、ほとんど体を動かすこともなく、2,3分の間に確実に分泌システムに影響を与え、ホルモンのバランスを調整し、体液循環の能力を高め、体中の水分調整を加速させることができます。
また、エネルギー生産の効率を上げ、基礎代謝をあげることもできます。
さらに、これらと同時に自律神経のバランスを調整し、副交感神経を優位に働かせることもできます。
体にとって非常に重要な調整作用、すなわち、体液の調整、代謝の調整、自律神経の調整、この三つの調整を、これほど簡単に、これほど短時間に、しかも同時に可能にするのは呼吸法です。
このわずか数分の間に意識してやることは、呼吸の仕方を変える、ということだけなのです。
今紹介した呼吸法は、もっとも簡単なもので、初歩的なものですが、20分〜30分くらいの指導訓練をうければ、上の三つの体感をほぼ全員が実感することができるでしょう。
■ 正しい呼吸法ひとつですべての内臓がよくなる
前の章では、運動に潜む落とし穴の話をしました。
そのときに、体脂肪燃焼の二大条件に触れました。 一つは、酸素、もう一つは酸素を行きわたらせるための血液循環、この二つでした。そして前の二つの節では、酸素の重要性と呼吸法の初歩的な姿をお見せしました。
この節では、血液循環と呼吸の関係について話します。
運動をすると、内臓の血液循環が悪くなるということ、これも前の章で話しましたね。
ではどうしたら内臓の血液循環を改善できるでしょうか。
健康的に、効果的に内臓脂肪を減らすためには、内臓全体の血液循環を改善することが不可欠です。
お馴染みのマッサージ(按摩術)について考えてみましょう。
マッサージは、体の局部の血液循環を改善するためのものです。マッサージは外部からの力を利用してこりかたまった筋肉をほぐすことによって、筋肉の中、あるいは筋肉の周りの血管を動かして、血液の循環をよくするものです。
しかし、肋骨に囲まれている肝臓、心臓、肺、胃、膵臓などの臓器の血液循環を改善しようと思ったら、どうすべきでしょうか。お腹の中に手を突っ込んでマッサージするわけにはいきませんよね。ですが、お腹の中に手を突っ込まなくても、内臓全体を簡単にマッサージできる方法があります。それは、呼吸法で横隔膜を動かすことです。
横隔膜とは、胸とお腹を区切る、ドーム状に張り巡らされた膜状の筋肉です。
この筋肉の上に、心臓、肺があり、下に、肝臓、胃、膵臓、腸、腎臓、子宮などがあります。横隔膜を下に下げると、肝臓、胃、膵臓、腸、腎臓などの臓器を揉みほぐすことになり、上げると、心臓、肺をマッサージすることになります。
そして、横隔膜には、食道、大動脈、大静脈が通るため、それを上下させるたびに、食道、大動脈、大静脈をマッサージすることになります。
これは、手でやるマッサージでは絶対に得られない血液循環の改善効果です。
いわゆるマッサージのイメージと原理を、手の届かない内臓にまで広げる発想は、一見するとむちゃに見えますが、他方ではあながちばかげた話でもなありません。
この他ならぬマッサージの原理を、内臓に適用する方法が横隔膜の上下であり、横隔膜を上下させる方法がまさに呼吸法です。
これは呼吸以外にはできないことです。呼吸法とは、横隔膜を上下させる運動と直接連動されているもので、まさに内臓全体、また血管をマッサージする動作なのです。
しかも、骨格筋とは異なり、横隔膜は長時間動かしても、疲れを知らない筋肉です。ゆっくり動かすならば、一時間や二時間でもまったく苦痛は伴いません。これは、ほかの運動では考えられないことです。
継続は力なりという言葉がありますが、裏を返せば、継続できないものは力にならない、ということになります。
いわゆる有酸素運動と称されるもの(水泳、ウォーキング、ジョギング、エアロビクス、パワーヨガなど)は、疲れやすい筋肉を動かして有酸素効果を期待するものであり、これは原理的な盲点はわりあい避けられたとしても、疲れやすい筋肉に頼ることから忍耐力を要し、持続的な実践という壁に遭遇してしまいます。
これらの点を含めてたとえるならば、筋肉運動が自転車で大阪まで行くようなものだとしたら、いわゆる有酸素運動は自転車より若干速い原付自転車といえるでしょうか。
いずれにしても、新幹線には適うはずもなく、この差は、継続できるかどうかという点からも生じるのです。
■ 「体力」、「免疫力」と「ストレス」の共通点
突然ですが、またここでもうひとつ質問です。
「体力」、「免疫力」と「ストレス」の共通点はなんだと思いますか。
健康を維持し、元気で長生きしたい人なら、この答えを知らないと、多くを損することになるでしょう。唐突な質問で、答えがピンとこないかもしれないので、ひとつヒントを差し上げます。
「ストレス」はもともと英語で何を意味する単語なのでしょうか。さらに、漢字の熟語でどういうふうになっているでしょうか。
心身の医学的な概念としてのストレスはもともと、「圧力」や「応力」が基本的な意味です。つまり、「体力」、「免疫力」と「圧力」や「応力」に共通するのは、「力」です。
「体力」は、生体を維持するための力、
「免疫力」は、病気を免れるための力、
「圧力」は、物体が外部から受ける力、
「応力」は、物体が外部から力を受けたとき、物体内に生ずる反発力です。
物理学で「力」とはエネルギーの表現です。したがって、上のようなもろもろの力は、すべてエネルギーそのものです。
われわれは、生命を維持するため、病気を治癒するため、ストレスに抵抗するため、あらゆる場面においてエネルギーを必要とします。
では、そのエネルギーはどのように作られるのでしょうか。
ヒトは呼吸で得た酸素を使って、食事から得た栄養素を分解してエネルギーを作り出します。
栄養素の種類によって酸素の消費量は異なります。例えば、体内では1分子のグルコース(糖質)を分解してエネルギーに変えるために、6分子の酸素を必要とします。他方では、1分子のパルミチン酸(脂肪酸)を分解してエネルギーに変えるのに、23分子の酸素を必要とします。
こうした差異はあるとしても、酸素の「内助の功」は膨大です。
空気中に酸素がないと、石炭や石油が燃やせなくなるのと同じように、体内に酸素がないと、
栄養素からエネルギーをつくることはできません。
分子の値がピンとこなければ、馴染みのある量で比較してみましょう。
基礎体力を作るのに、食事は1日わずか2,3回で十分なのに対して、呼吸の方はといえば、1日2万〜3万回の呼吸で、約14400L以上の空気(このうち酸素は数千リットル)を消費します。そして、1日数百グラムの栄養素と数千リットルの酸素を使って100kg以上のエネルギー物質(ATP)を作り出し、消費しているのです。
以上のように、呼吸の良し悪しで、われわれの体力、免疫力、ストレスへの抵抗力、自然治癒力などは決められてしまうと言って良いでしょう。
力(パワー)すなわちエネルギーの源は、食事から得る栄養分であると考えている人がおそらく多いでしょう。
「元気をつける」、「精気をつける」といったら、世間では、それは必ず、スタミナのつく食べ物を食べることを意味します。
これは完全に間違っているわけではありません。しかしいくら精のつくものを食べたとしても、酸素がなければ、本当の力(エネルギー)にはなりません。しかもどれほど多くの酸素を必要とすることかは繰り返すまでもありません。
生命を維持するには絶えずエネルギーを必要とします。体内で大量の酸素を利用し、食事から得たわずかの栄養素を分解してエネルギーを作ります。
そのため、ヒトは絶えず呼吸します。この意味に気がつけば、われわれはより健康に、より豊かに生きることができるのです。
呼吸が生命の維持にとってもっとも大切である、ということの意味を再認識することがいかに重要であるか、これは何度繰り返し強調しても足りないくらいです。
■ 「○○」がなければ、糖尿病は解消されない
食事をきちんと摂っても、休養をしても、疲れがなかなか取れない、元気がでない、やる気がでない、病気がなかなか治らないなどなどの不調を訴える人が多くいます。
これらの原因はすべて呼吸の悪さに直結するといっても過言ではありません。
さらに糖尿病やメタボリックシンドロームなど、これらも呼吸の悪さに直接関連があります。
ここでは特にこの二つを考えてみましょう。
まず、糖尿病です。
国の医療政策の主要な目標のひとつが、糖尿病の有病者数・予備軍を減らすことだということは、「健康日本21」が標榜するとおりです。しかしこの運動を施行しても目標は達成できず、むしろ結果は裏目に出ています。
「○○」がなければ、糖尿病は解消されない、この「○○」とはO2のことです。
エネルギー源である血糖を分解してエネルギーに変えるためには大量の酸素が必要です。
この基本的なメカニズムは糖尿病の場合も例外ではありません。
1分子の血糖(グルコース)をエネルギーに変えるには、6分子の酸素を要します。体内の血糖をコントロールするにも、インシュリン注射より、呼吸の仕方を変えて換気効率を上げ、より多くの酸素を体の隅々に送るようにするほうがよほど効果的かつ効率的です。
呼吸の仕方さえ変えれば、ほとんどの糖尿病患者の治療においてインシュリンは要らないといっても過言ではありません。
次に、メタボリックシンドロームです。
メタボリックシンドロームも糖尿病同様に国の医療政策が本腰を入れて取り組んだ相手ですが、 結果は逆方向に出ています。
メタボリックシンドロームの大敵である余分な内臓脂肪や、スリムな体型の大敵である余分な皮下脂肪などの脂質を減らすにも、一番大切なのは、酸素の供給効率です。
メタボリックシンドロームの元凶である余分な内臓脂肪を効率よく減らすためには、二つの必須条件があるということは前にも触れました。この二つの条件を満たさなければ、効率よく内臓脂肪を減らすことはできません。
しかし、前章で説明したように、運動をすればするほど、酸素の供給効率は悪くなるし、運動をすればするほど、内臓全体の血液循環は悪くなります。運動ではだめだということも、はっきりさせておきましょう。
すると、体脂肪(内臓脂肪を含む)を効率よく減らすための必須条件が三つあることになります。
- 安静時または緩やかな運動時。
- 酸素が豊富であること。
- 内臓を含む全身の血液循環の良い状態。
これらの条件は、横になって正しい呼吸法を行うことで
すべて満たすことができます。
横になって安静状態を保ちながら正しい腹式呼吸法を行うと、肺の換気効率を最大化するだけでなく、自律神経バランスが調整されることによって、内臓を含む全身の血液循環が改善され、体脂肪を燃やすために必要な大量の酸素を体内の隅々まで送ることができるようになります。
そしてなにより、横隔膜をゆっくり動かすことによって、その上にある心臓と肺、その下にある肝臓、胃、すい臓、腸、腎臓など、ほぼすべての内臓をマッサージし、内臓全体の血液循環をよくする効果が得られます。
■ アホとボケの共通点
さらに、もうひとつの質問から始めます。
アホとボケの共通点はなんでしょうか。
アホは漢字で「阿呆」と書き、ボケは「呆け」と書きます。どうも、「アホ」と「ボケ」は″同格のようです。冗談のように聞こえるかもしれませんが、これは決して言葉遊びではありません。
アホとボケが同じ漢字(「呆」)を使うのには理由があります。
口を開いて息をしている様子は、アホとボケに共通する特徴らしいのです。 (あくまでもそういう傾向があるというだけの話ですが。)
昔は、「口を閉じなさい」、「アホみたいにだらしなく口を開くな」と親がよく子供に注意をしたものです。しかし最近では、注意する親がほとんどいなくなってしまいました。
電車に乗っている間に、よく観察してみると、親も子も、口を半開きにしている光景をよく目にします。そして、口を閉じる代わりに、マスクを使って自分をガードすることが普通となりつつあるのです。
昔の子供の躾は理にかなっています。
たとえ、理論的な知識がなくても、あるいはただ伝統的に受け継がれたに過ぎなくても、親たちが口を閉じる習慣を子供に身につけさせていたということは、単なる見た目の問題ではなく、この習慣が心身の健康に深く関係しているという共通認識があったからこそに違いありません。
口を横一文字に閉じている姿から人が想像するのは、男らしさであり、力強さであり、凛とした態度であると思います。口を半開きにしている武士図を見たことがあるでしょうか。
「ボケずに長生きしたい」とは、誰にもある願望ですが、ボケてしまった人がほとんど口呼吸をしているということに気づいている人は数少ないでしょう。
前にも説明したように、脳は体全体の約20%くらいのエネルギーを生産し、また同じ量のエネルギーを消費する臓器です。
脳のエネルギー代謝のために、全身の20%くらいの血流は脳で循環されます。血流循環の第一の役割は、エネルギー生産のために、酸素と栄養素を供給することです。酸素を得る活動(呼吸)のやり方が悪ければ、直ちに脳のエネルギー活動に悪影響を及ぼします。
口呼吸をすれば呼吸が短くなり、呼吸が短くなれば、毎分間の換気効率が悪くなります。換気効率が悪ければ、脳のエネルギー活動が悪くなります。脳のエネルギー活動が悪くなれば、脳細胞が死滅し、再生力が低下してしまいます。
こういう悪循環で、脳細胞は次第にやられてしまうのです。
たかが口呼吸と侮るなかれ。口呼吸の人はボケが早まるし、ボケになるリスクも高いのです。
最近、ボケ防止やボケ改善と称して、あるいは脳の血液循環のためといって、計算ドリルを使うことがはやっていますが、そのような小手先の計算をするよりは、口呼吸をやめて、鼻で深呼吸する習慣を身につける方が、ボケ防止の根本対策であると言えます。
呼吸の重要性と効用は体脂肪燃焼に限りません。
呼吸は生命と健康の根幹です。
ボケについて簡単に見てみましたが、それは、脳にとって重要だということを指摘するためでした。
次の節では、望ましくない呼吸について話します。
普段、無意識にしている呼吸がほとんどこれに当てはまる可能性がありますので、これを知っておくのは、望ましい呼吸の効用を知るに劣らず重要です。
■ 免疫の主役がばい菌の伝道師に化ける
口呼吸研究の第一人者である西原克成氏の研究によれば、口呼吸をすると、空気中の病原体がほとんど体に吸い込まれ、血液を汚し、白血球の免疫力を低下させるといいます。
さらに、それらの病原体が脳に入り、正常な細胞の中に棲みついてしまうと、正常な細胞や組織がやられて、わけのわからない難病・奇病を引き起こすというのです。
鼻を使わず、口で呼吸する場合、無数の病原体を含む冷たい外気がいきなり咽喉を直撃し、何の阻害もなく、体の第二の防御線である扁桃腺まで一気に突進します。
扁桃腺は白血球を盛んに作っている器官であり、第一の防御線(鼻)を突破したばい菌やウイルスをやっつける大事なところです。
空気中の病原体のほぼ100%はこの二つの防御線によって全滅するはずですが、口呼吸をしていると、第一防御線の鼻はただちに第二次世界大戦時のマジノ線のように無用の長物と化し、そこを迂回して侵入するばい菌によって扁桃腺が簡単にやられてしまいます。
したがって、風邪を引きやすくなり、喉に炎症がおきやすくなってしまうのです。
一昔前は、(口呼吸のせいで)扁桃腺が腫れる子供がよくいたものです。
口呼吸を止めさせればいいのに、扁桃腺の働きがよくわかっていない医者は、「こんな厄介なものだったら、とってしまおう」とばかりに、手術して扁桃腺をとる選択を勧めていました。
口または鼻が汚れた外気から体を護る最初の関門だとしたら、扁桃腺は、第二の関門であるといえます。口呼吸の上、扁桃腺まで切除してしまったら、第一関門と第二関門もろとも開け放しで、24時間泥棒が入り放題の城と同じになってしまいます。このような体は、ぼろぼろになっても仕方がありません。
さらに、口呼吸の弊害は、口腔に空気が出入りするたびに口の中が乾燥して、口のなかの水分が奪われ、病原体をやっつける主役である唾液がますます少なくなるということです。乾燥している口の中は、まさにばい菌や病原体の温床です。口臭や歯周病や虫歯などを対症療法で対処しても、なかなか治らないのは、原因である口呼吸が放置されたままだからです。
口呼吸によって、病原体に対する、扁桃腺に備わっている抵抗勢力は一気に弱まります。その結果、免疫の主役であるはずの白血球に病原体が入り込み、菌の消化力が低下した白血球は病原体を担いだまま、全身を駆け回り、その病原体をばら撒いていくことになります。
白血球は血液だけでなく、リンパ液にも自由自在に出入りします。そのため、白血球の行った先々で、病原体がある箇所の細胞のなかに移り住んでしまえば、その箇所で難病奇病が起こってしまいます。
西原氏の持論を要約すれば以上のようになります。
病原体にやられる組織によって病状が異なります。たとえば
皮膚 → アトピー、
関節 → リウマチ、
脳 → 脳炎、メニエール病、
目 → 緑内障、白内障、
骨格筋 → 筋無力症、
鼻 → 鼻炎、蓄膿症、花粉症、
腎臓 → ネフローゼ、腎炎、
膵臓 → 糖尿病、
などなどです。
とにかく、病原菌がすみついた細胞は、血液検査やMRI
などの精密検査でも特定することができないものなので、世の中に、難病奇病がますます増えていくと西原氏は言います。
(『アレルギー体質は「口呼吸」が原因だった』西原克成著により)
■ 長息で長生
「舎本逐末」、中国語にはこのような言葉があります。
「舎」は捨てる、「逐」は求める、という意味です。
『漢書』に由来するこの諺は、物事の根本を捨てて、二次的な主要ではない部分を追求することの愚かさを戒めるものです。
健康に関してもこの言葉は当てはまるのではないでしょうか。
現に、健康増進や元気で長生きすることを求めているにもかかわらず、ヒトにとってもっとも大事な生活習慣の「呼吸」を無視して、二次的というべき食生活、運動、休養にばかり目を向けているのが現状です。
長息が長生きであることは、決して言葉遊びではありません。
息をすることは生命の証なのです。
「生息」という言葉の通り、息=生は言語的にも根源を同じくするものだと考えられます。元気で長生きしたい人は、ぜひ、長い息を心がけてほしいのです。
ただし、口ではなく、必ず鼻で。
体力、免疫力、自然治癒力、集中力、ストレスに抵抗するための能力など、体のあらゆる「力」は、われわれの意識あるいは無意識のうちにしている一つ一つ呼吸によって作られます。
そして、体の余分な体脂肪(皮下脂肪や内臓脂肪、血液中の中性脂肪など)はエネルギーの貯蔵庫であり、それをエネルギーに変える要は、一つ一つの呼吸で得た酸素です。
短い呼吸と深呼吸とを比較した場合、換気効率がどれほど違うかを次の表でみてみましょう。
呼吸型による換気効率 |
| 1回換気量(ml) |
250 |
500 |
1000 |
| 毎分呼吸数 |
32 |
16 |
8 |
| 死腔量 |
150 |
150 |
150 |
| 毎分換気量 |
8000 |
8000 |
8000 |
| 毎分肺胞換気量 |
3200 |
5600 |
6800 |
|
(毎分肺胞換気量=毎分換気量−死腔量×毎分呼吸数)
この表は、1回の換気量が少なく、短い呼吸に比べると、1回の換気量が多く、深い呼吸の方が
毎分の換気効率が倍以上高いことを示します。
さらにこの表にあがっている深呼吸よりももっと換気効率のよい呼吸が存在することは確認できています。(ご興味のある方は、レポートの後編をご参考ください。)だとすると、この差はもっと大きいものになるはずです。
一回一回の呼吸であなたは得をしていますか、それとも損をしていますか?
■ まとめ
| これまでさまざまなことについて触れてきましたが、基本軸は二つでした。最も広くいえば、肥満解消や健康にとって生活習慣が重要だという一点に尽きます。
数ある生活習慣の中で、本書が主題として論じたのは、二つの生活習慣です。
一つは誰もが重視している食習慣、もう一つは無視されている生活習慣、「呼吸」です。
体を動かす運動に関しては、健康維持にとって飾り物の程度のものだといいたいです。しかし運動を全否定しているわけではありません。
ただ、これまで重要視されている食事と運動の代わりに、呼吸と少食を二大原則にすべきであると主張します。
生体を維持するために、体内ではたえずエネルギーが作り出されます。
そのエネルギーの元となるのは、1日2万〜3万回の呼吸で取り入れた数千リトルの酸素と数回の食事で吸収したわずか数百グラムの栄養素です。
エネルギーの元となる酸素がなくなると、エネルギー代謝活動はとまってしまい、体のすべての生体活動は終わります。 |
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